これは、50歳を過ぎてから海外に出てシェフをしているわたくしの記録です。
忘備録的な感じかもしれませんが何かの参考になれば幸いです。
メキシコ、トゥルムのパワーは、っぱない
ディナーのメニューの試食会
またしてもなんの予備知識もないまま、メキシコ、トゥルムへ突撃してしまったわたくしもブレックファストの改革も終え、ディナーのメニューの準備を進めていきます。
CRZY CHEFと練り上げたメニューを一週間かけて、試食会をしました。
寿司関係はCRZY CHEF。タイ料理、ベトナム料理メニュー、和食のホットメニューは
わたくしの担当。
一週間かけて全メニュー試食会制覇！
どれも好評のまま、本採用することにしました。
そらね、タイフードもベトナムフードも、現地の高級レストランでは食べたことないけどストリートでローカルなら任せておけってなもんで。。。
ベトナムフードに関しては、ハノイのホテルの社食のシェフに教えてもらったレシピやストリートで覚えたリアルな感じ。
タイフードに関しては、十数年前に子供達と一緒にタイ、チェンマイでのHIVの子供達のための孤児院で物作りのお手伝いに行った数ヶ月間で覚えた味です。
＊チェンマイ、この孤児院バーンロムサイの記憶は、また別の機会に記録したいなと思います。
レストラン、ディナーも開店
試食会を終えた一週間後にディナーを開店することになりました。
なんの宣伝もなく開店した割には、毎日、結構、お客様が来てくださり嬉し買ったとです。
わたくしにとって、メキシコでの和食とか寿司の提供などは全く未知のものなので、和食に関してのメキシコでの掟はCRZY CHEFから、教えていただきました。
寿司はすべて「裏巻き」とか、「スパイシーソースの巻き」とか。。。
んん〜〜やはり、アジア、ベトナムとは、かなり違う。。。
みなさま、わさびはあまり好きじゃありません。
海苔が表側にあるのも好きじゃありません。。。
裏巻きあんまり得意じゃないけど、とりま、習得。
トスターダやティラディート、セビーチェもね。。
イタリア人とフランス人の衝突
朝食はなんだかんだあった末に新しく来たフランス人ARUが担当になり、主要メンバーになっていました。
ところが、、、フランス人ARUと、イタリア人HANAさんとの相性がかなりよくない。
理路整然と頑固に身を固めたフランス人ARU、とにかくオーナーにイエスマンで集中力のないイタリア人HANAさん。。
フランス人ARUは、オーガナイズもうまいし、朝食は全面的に任せていたのです。
(卵料理も完璧に覚えてくれたしね、。食材の管理もしっかりしていたし、。)
日本のアニメが大好きなARU、。ナルトのこと語らせたら天下一品！！
日本のアニメ力 ごいす〜〜。
ある朝、キッチンを訪れたら、ものすごい剣幕で二人が言い争いをしていて、、。
結果、ARUは、ある朝、「シェフykky、ごめんね。もうやめるわ。。」
ちーん。。。。
せっかく軌道に乗り始めたのに。。。
ここから、始まりました、キッチンスタッフもウエイター、ウエイトレスもひどいと、
1日でやめていくっていうThe Mexico 求人現状。。。
少しでもお金が入るところに行くのは当たり前。。。。
やめていく子達の原因の一つとして、HANAさんのマネージメント能力の無さ、ってのもありました。。
が、もひとつ、、、メキシコはやはりまだまだ平均賃金低いし、貧困層でなくてもお金で動くことの方が多いらしいのです。(まあ、当たり前か。。)
一銭でも高いところにすぐに移ってします。
チップが少ないだけでもやめちゃいます。。。
スペ語メニューアイキャプチャ作戦
ってことで、とにかくHANAさんには、的確なマネージメントをしてもらいたい、
スタッフ教育をしてほしい、まずは、あなたが実践して、メニューを覚えたり、オーダーの取り方や書き方を統一してほしいってことを伝えました。
そして、それをスタッフに伝える、。ってことしてよん、。って。。。
ってのも、このHANAさん、オーダーシートの書き方がもうめちゃくちゃ、英語だったり、スペ語だったり、、両方混じっていたり、果てはイタリア語も混じっていたり、、
チャーハンも、フライドライスだったり、ライスフライドだったり。。
何度言っても治らない、、、そりゃ、受けるキッチン側も混乱するし、ウエイターも何が正解なのかも理解できない。。
オーダーミスは当たり前に多いし。。。チップはなくすわ、パソコンもできないから、
シフト表を作ったり、インターネットを通してオーダーを受けるデリバリーの管理も
ままならない。
彼女の良いところは、笑顔がとても良い(でっかいけど。)ことと、誰にでもお喋りフレンドリーだから、お客さんとの会話が弾む。
そんな良いところがあるんだから、せめて、仕事の中できめられている日々の作業をしてくれたら万々歳なのよ。
しかしいつ迄たってもオーダーの書き方を統一できない(相変わらず英語、スペ語、順序ごちゃまぜ。)
しょうがないから、すべてのメニューをこのように書いてくれっていう一覧表を作ってあげました。(これ、あんたの仕事でしょうがって、ブツブツ言いながら。。。)
とにかく、日によって、スクランブルエッグをエッグスクランブルウエボ(ウエボは卵のこと)って書くのは やめてくれ〜〜！！
HANAさん：実は私、英語とスペ語が頭の中でぐちゃぐちゃになり混乱してるの、ごめんね
おし、わかった。もう全部スペ語で書いてくれ！スペ語表記のメニューあたしが覚えるから！
もうなに語でも良いから統一してくれ！
あたしの目はアイキャプチャーなんだよ！。
画像で理解してるんだよ！だから、毎回違う書き方だとまじ、困るの！
そうなんです。わたくし、そんなに優れているわけではないけれど、アイキャプチャリングするタイプなのです。
だからスペ語でも英語でもなんでもいいから書き方の統一をしてほしいってわけです。
子供の頃、IQの高い弟と将棋をして勝った試しはないけれど、トランプの神経衰弱をしたら、大差で勝てる、ってやつです。
デリバリーのクレーム
まあ、やっとHANAさんのオーダーシートの書き方はやっと改善の兆しがみえてきました。（ほっ。。）
中々落ち着かない2ヶ月も経とうとしていた頃、デリバリーでクレームがきました。
客：フォーにスープが入っていない💢💢麺だけのフォーが届いた💢💢💢💢💢💢
金返せ〜〜〜💢💢 💢💢
お客様のすげ〜剣幕にただただオロオロするHANAさん。客から送られてきた写真を
わたくしに見せます。
拡大してみるわたくし。
ちょっとぉ。HANAさん、よく見てみなよ。麺、茶色じゃん。おまけにチキンが写っているし、もやしも数本見えるじゃん。。。
ってことは、、これ、客がこぼしたか、配達員が落としてこぼしたか、どっちかだぜ！
あたしゃ、チキン入りのスープにして仕込みして冷凍してあるんだから！
オロオロしてないで応戦せよ！
どこの国にでもいるんですねぇ。クレイマー。。。
結局、なぜスープが消えたかは謎のままですが。。。。。。
楽園に飲み込まれるということ
この数日後、オーナーご贔屓のHANAさんがとうとう倒れました。
高血圧、めまい、身体中止まらない汗。。。
本人曰く更年期障害だって言っていましたが、ストレスのようです。
イビザよりさらに楽園だと思ってやってきたトゥルムの街、好きになれないって、。
メキシコ人スタッフもアルゼンチン人にも何回言っても理解してくれない。
信用できない。
メキシコ人もメキシコも、トゥルムも嫌い。イビザに戻るよ。。
今度会うときはもう少し英語上達してから会いにくるね。
がっくし。。。。
ここはトゥルム。ネオヒッピーな街。どんな格好をしていようが、裸足で歩いていようが身体中お絵描きがあろうが穴だらけであろうが、誰も人のことなんて気にしない。
ジャングルとカリブとセノーテに囲まれた楽園。
そして、マヤの絶大なる気が充満している、っぱないパワーを持っている街。
そして、先進国ではないメキシコ。
自分の足でしっかり立っていないと街に飲み込まれる。
HANAさんを通じてことさら感じました。
でもね。HANAさん、言葉で通じさせることも重要だけど、気持ちで通じさせることも必要だよ。
理解してくれない、じゃなくて、理解してもらう方法は百もあるのに
あなたは一つの方法しか試さなかったんだよ。
理解させられなかっただけなんだよ。
なに人であろうが相手は鏡。相手への不満は自分への不満だよ。
ね。HANAさん、、、、ほな、さいなら。。。
50歳からでも海外就職したり、シェフになってみたり
しながら出くわしたことの記録がなんかの足しになればよいかと存じます。
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